「世界広報の日」研修会


5月29日(世界広報の日)、カテドラル大名町教会において
”共同体の「わ」と広がりを求めて”と言うテーマで講師に下搾英知 神父さま(長崎教区司祭)を
迎え、福岡教区広報委員会主催の研修会が行われました。

研修会は1部講演「広報とはなにか」、長年カトリック中央協議会で出版部、広報部、
カトリック新聞に関わってきた下搾神父さまは、はじめに「カトリック教会と広報」と言うテーマで
「世界広報の日」の教皇メッセージにふれ、どうして教会が広報と言うことに注目しているのか?
広報は福音宣教の有用な手段であるから広報について学び活用しましょうと呼びかけている
カトリック教会における広報の使命は「世の福音化」にある、これ以外の目的を探すのは難しいくらい
明確なものですと話され「福音化」という言葉について福音宣教(ミッション)派遣でもなく、
福音をのべ伝える(アナウンス)でもない・・福音化(エヴァンゼリザッォネン)とは福音に変えて行く・・
福音的な価値観を浸透させていく・・とでも言いましょうか?価値観を押し付けるのではなく
相手を尊重するところから始まる・・示し・・招くことから始まる。その「福音化」の有効な手段がメディア
であってメディアを通して広報していくことがカトリック教会の根本的な姿勢ですと話され。
また「世界広報の日」をコミュニケーションズデーと訳しています・・
これが正しいかどうか良く分かりませんが・・ここで言っている広報は皆さんが
教会で行っているような広報のことをイメージしていただいて結構です、「広報は鏡」・・
ある団体の広報は、その団体のあり様を映し出しています。停滞した共同体だと
広報するものは何もない・・活き活きとした共同体では広報も活き活きとしてくる、
つまり広報を考えると言うことは共同体そのものを考えると言うことに繋がってきます。
残念なことに教会共同体のなかで広報はあまり重要に考えられていない・・?
何かあっても広報には情報が廻って来ないとか・・広報の視点から案を出しても
受け入れてくれない・・と、感じられることもあるかと思います。
本来、教会共同体を考えることですから、こう言った研修会には
できれば教会の主任司祭の皆さんにも参加して欲しいと思いますね・・と話した。


次に広報には媒体が必要です・・紙、音声、インターネット(電子媒体)・・媒体(メディア)と言うのを
つなぐ・・と言いますか?キリスト教の中ではとても重要な言葉ですね・・なぜならイエスさまご自身が
神さまと人間との媒体ですから・・イエスさまの呼び方に購い主(レデンプトール)と言うのがありますね
ただ単に救い主と言うのではないのです、神さまは私たち人間を罪から救うために代償を払ったと言う
言い方・・もうひとつは神と人との仲介者(メディアトゥール)という言い方・・つまり目に見えない神を
イエスさまを通して示してくださった・・私たちと結びつけた・・。イエスさまご自身がメディアで
あったと言うことです。紙、音声、電子・・もうひとつキリスト教的に言うならば私たち一人ひとりも
媒体のひとつなのです・・なぜならイエスさまはこの世を去っていくときに自分の使命を弟子たちに
託した・・ですから教会が生まれた・・教会の使命として「世の福音化」があり・・教会とは私たち一人ひとりの
ことなのですから私たち一人ひとりにメディアとしての使命がある・・そして広報は対話へと開かれている・・
これも重要なポイントです”対話へと開かれている”すなわち話題を提供すると言うことですね。
「情報」は提供することによって「話題」となり話題が広がり対話(コミュニケーション)へとつながって
行きます。広報誌がお知らせ事ばかりの紙面では、そもそも読まれないと言う傾向もありますので
それ以外の情報(教区が行っていることの解説、週毎の福音の解説、等々)を
「話題を提供する」という意味でバランスを考えて取り入れると良いのではと思います。
広報誌などの紙面作りに苦労されている皆さんのヒントにと思いまして少しだけ「新聞と広報」と言う
ことについてもお話しします~単純に分けてしまえば記者が取材した記事を掲載するのが「新聞」
中立的な第三者の目を通して事実を正確に記事にしたもの「ニュース」を載せるものが「新聞」です。
~機関が発信する情報を配信するのが「広報」・・つまり教区が決めたことなどを、そのまま載せるものが
機関誌「広報」です。どちらかと言えば小教区報や教区報と言うのは「機関誌」であると思います
なぜなら圧倒的にお知らせや行事報告といった部分も沢山ありますので機関誌「広報」であると言えます。
「広報は鏡である」と言うこと考えるならば小教区についても理解しなければいけませんね。
できれば主任司祭をはじめ小教区共同体の皆さんと共通理解が持てれば素晴らしい・・
小教区を広報がらみ福音化と言う側面から3点ほど定義としてあげると・・「地域に根差した共同体」
地域に根差した・・教会が根付くと言う表現・・これは地域に受け入れてもらったと言うことですね・・
地域に受け入れてもらうには2点目の「地域に開かれた共同体」であると言うことと同時進行的な
事柄ですが地域に開かれた・・根付いたと言われるには信者さんにだけ理解できることでは
ダメですね・・信者さんにだけ・・共同体のメンバーにだけ分かることでは世の福音化にはつながらない
これは私たちだけではなくカトリック教会が周囲に対して理解していただけるよう努力を積み重ねて
行かなければいけないことだと思います。3点目は「地域でカトリック教会のサービスを提供する共同体」
である。ここで言う「教会のサービス」とは「秘蹟的なこと」だけを言っているのではありません。
小教区共同体が・・私たちが地域の中でカトリックのサービスを提供すると言うことは単純に言えば、
地域の中でキリストの愛の教えを実践すると言うことです・・例えばキリシタン時代がそうであったように・・
ミゼェリコルデェアの行いなど聖書のことば(福音)・・憐れみの行いを文字通り実行しようとしていた
信徒の組織があったわけです。ですから、その当時の教会は勢いがあったのではないでしょうか?
信者も主任司祭も小教区のあり方・・小教区とは何か?と言ったところから互いに小教区共同体の
使命を果たすことを考え・・それが広報されていくと素晴らしいものになって行くと考えます。
皆さんも小教区の広報を担当しているということはカトリック教会の福音化、福音宣教の一役を
担っているんだと言うことを忘れてはならないということですね。


第一部講演のあとグループ別に分かれて下搾神父さまのお話しを聞いて感じたことや
それぞれの小教区で携わる広報活動についての分かち合いの時間が持たれた。
小教区によって携わる広報活動の内容も異なり様々な意見や疑問なども話されたなかで
インターネットの活用(ホームページ)についてや「世の福音化」と言う話を聞いて、もっと大きな
視点から自分たちが担った役割を考えて取り組まなければと感じたとの意見も出された。


分かち合いのあと、第二部講演として「共同体における広報と宣教としての広報」ということについて、
下搾神父さまの長崎教区での司牧経験からのお話しなども織り交ぜながら内向け(教会共同体)の
広報なのか外向け(世の福音化)福音宣教のための広報なのかで伝える内容も使う媒体(メディア)も
変わってくると思います。通常私たちが使う媒体は「紙」媒体なのですが、たぶんそれは正解だと思います。
まだまだ日本のインターネットの普及率などを見ると・・特に日本の教会での普及率を考えると
十分とは言えません・・しかしできれば皆さんの教会ではホームページにもチャレンジしていただきたいと
思います。都会になればなるほどインターネットの使用率は高いですし実際ホームページを見て
教会に来られると言う方が沢山いるんですね・・。何の宣教もしていないのにホームページを
置くだけで年に何人もの方が教会を訪れると言う現実もあります。立ちあげるためには
色々な問題もあるでしょうが是非、取り組んでいただきたいと考えます。小教区内ではなく
外に向けて話題を提供する・・対話を促進する・・福音的な価値観を発信する・・提供して行くことが
外へ向けての福音宣教のあり方だと考えますし広報の使命だと思います。
最後に小教区広報担当者は小教区の公式情報を把握、確認し配信することが基本です。
情報は一旦配信されると、どんどん広がって行きます・・一人歩きします。また、発信した
情報の問合せ先になるのも広報の仕事です。記者となることもありますので記者としての
心得も持っておいて欲しいと思います。あと当たり前のことなのですが主任司祭をはじめ、あらゆる部署との
連携を必要とします。正しい情報が広報に集約するような仕組みつくりが必要だと考えますし、
みんなの協力が必要であると思います・・・と話し研修会での講演を終えました。


終わりに全大会と言う形で、それぞれのグループでの感想や研修会に参加しての
感想などが参加者の方から話され、教区広報委員長の森山信三 神父(西新教会主任司祭)の
挨拶のあと講師の下搾英知 神父、森山信三 神父の二人から派遣の祝福をいただいて散会となった。


教会広報の目的などについて自分なりに理解していたつもりだが一つ一つを掘り下げ
丁寧に説明してくださったことで重要性を再認識したと言う声や、情報が広報に集まる仕組み
つくりと言うことや、主任司祭との連携の重要性は良く分かるが現実からは遠いとの
声も聞かれた・・。外にも内にも向けた広報としての役割は教会共同体としての
使命であることを認識して、これからの広報活動に役立てていきたいと思います
多くの皆さまのご協力もお願い致します。