「誰もが平和の作り手になれるのです」松浦悟郎司教講演会

1月14日(祝)成人の日であるこの日、福岡カテドラル大名町教会に於いて、社会福音ネットワーク福岡主催による松浦悟郎司教さま(名古屋教区司教/ピース9の会主催者)の講演会が行われた。
会場となった大名町教会1階講堂には160名を超す皆さんが、それぞれに持つ平和への思い、イメージを描いて集いアシジのフランシスコの祈りを歌にした「あなたのへいわの」を共に歌い始められた。
用意された資料が足りなくなるほどの皆さんを前に登壇した松浦司教は、現在の日本の現実に危機感を持ち、何とかしなければという平和への思いがあふれているんだなと言うことを感じ嬉しく思います。短い時間ですが皆さんが平和を考える取り組みの一つの材料にしてもらえればと願って始めたいと思いますと挨拶した。

今回の「誰もが平和の作り手になれるのです」というテーマでの講演に入る前に昨日、高校生・青年を対象に行われた松浦悟郎司教を囲んでのミーティング(分かち合い)についての報告が参加した青年から話された。
青年たちは「正義」と「平和」についてのそれぞれのイメージを出し合い、身近に感じる「正義と平和」について疑問に思うことなどを発表し、共通する「正義と平和」はあるのか、社会の中で平和を実現するために自分たちができることはあるのかを話し合って司教さまに質問し、一つ一つについて的確に答えていただく形で話をしていただいた。
誰のための「正義」なのか「平和」なのか、私のため、私たちのためでは真の正義と平和とは言えない。
「正義」と「平和」とは、全ての人のため「聖的」なもの、開かれたものでなければならない。
単に平和になることを求めるのではなく、常に平和の方向へ向いて歩んでいかなければならないと言うこと。
「正義と平和」というと大きな問題だと捉えがちですが、例えばそれぞれの生活の場や教会における人間関係など、もっと身近な問題として捉えて、その関係を正しいものにしたいという最終目標に向いているかといったところから平和への歩みがはじまると言ったお話しや、私たち(青年)がカトリック教会の信者として「平和」を求めることの希望をお話ししてくださいましたと報告した。
青年の報告に続いて本題に入った松浦司教は、今の日本の危機的な状況について、この平成と言う時代を世界的な観点から振り返り、また、政府が推し進めようとしている憲法改正に触れながら、昨年カトリック教会ではいくつかの大事なこと(象徴的な)ことがありました、列聖されたオスカル・ロメロ大司教やパウロ6世教皇についてですが、彼らは現実に
よって変えられて行った、それは教会を表していると思います。わたしたちの教会には「あるべき姿」と言ったものがあります。
その姿はカトリックの教師の中にもあるし、教えの中にあるわけですから何千年も変わらずにあるものなのですが、その中身については、ずっと変わってきたと言えます。
つまり現実が教会を変えていくこと。教えと言うのは「教義」ですから書かれているものはあっても、形として見えるものではありません。実際の在り方、関わり、発言によって
表されていくわけですから、教会はずっと変わってきたと言えるのです。
お配りした資料にもあるように列聖された教皇さまや彼らは、現実によって突き動かされて変えられて行ったと話し、パウロ6世教皇の回勅「ポプローム・プログレシオ」から
(3)「飢えた民は、いま富める民に苦しいうめきをあげて呼びかけています。教会はこの苦しみの叫びの前にふるえながら、みなさんひとりひとりが兄弟の訴えに愛をもって応えるように求めています」という文章を紹介し、まさにこれは、出エジプト記で神がモーセに語ったことばです。「ふるえる」これが神を動かしたんです。心がふるえたら、ただじっとはしては居られないんです。そのふるえが自分を動かして駆け寄って行く。駆け寄るとケガをするかもしれないけれど、それよりもその人のところに行こうとすることが、わたしを押し出すと言うこと。
暗殺されたオスカル・ロメオ大司教は、保守的な人でしたが軍事政権下に於ける貧しい人々、弱い人々の状況を見て変えられて行った。つまり、その現実から教会は問われる、現実がわたしたちの信仰を問う、それに気がついた人、心がふるわされた人が駆け寄って行く。また、36年間の内戦のあとグアテマラのカトリック教会が「和解」のために徹底して働き、その中で惨殺されたファン・ホセ・ヘラルディ司教を紹介し、「和解」は教会の大きな務めです。「正義」を追求すると言うのは「和解」のためなんです。「正義」は相手を裁くためではなく、少なくとも悪化した関係を元に戻して「和解」へと向かって行く、そのために「正義」を行わなければ本当の和解(平和)とはならないと話した。
そして1981年に来日した教皇ヨハネパウロ2世の「平和アピール」の一部(抜粋)を紹介し、なぜ戦争は無くならないのか、戦争を起こそうとするプロセスに触れながら、現在の日本を取り巻く危機的な状況、政治が向かおうとしている方向性を例にあげながら、戦争放棄をうたった日本国憲法を変えようとする政治の動きについて話し講話を終えた。
20分の休憩をとり講話の感想や質問を皆さんに書いていただき、まとめられた質問事項(政権が改憲を進めて行こうとしている中で私たちはどうしたらいいのか。この日本を守り、平和を子どもたちにつなげて行くためにはどうしたらいいのか。)などについて松浦司教に答えていただいた。
揺らがないこと。「私たち」ではなく「私は」といった強い意思を持つこと。無関心ではなく流されないと言うことです。その上で無理をしなくていいのですが一歩を踏み出して欲しいと思いますと答え講演を終了した。最後に行橋教会バンドの演奏にのせて「あなたに愛されて」を全員で歌い、祝福をいただいて派遣された。