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第48回日本カトリック映画賞「ただいま、つなかん」

               

今年の「第48回 日本カトリック映画賞」受賞作、 風間研一監督の『ただいま、つなかん』をご紹介いたします。

                

                

 放送、映画、視聴覚メティアに携わるカトリックの国際的な団体であるSIGNIS (世界カトリックメディア協議会=本部・プリュッセル)の日本組織SIGNIS JAPAN (カトリックメディア協議会、会長・土屋至)は、2023年度の「日本カトリック映画賞」に、ドキュメンタリー映画『ただいま、つなかん』[風間研ー(かざまけんいち)監督115分 製作著作:文化工房]を決定しました。

        

 今回の授賞作『ただいま、つなかん』は、東日本大震災で被災した宮城県唐桑町の牡蠣養殖業・菅野和亨(やすたか)さん、一代(いちょ)さん夫妻と、かれらのもとに集まってきた大勢のボランティアの若者たちの交流を描く感動的なドキュメンタリー映画です。

 民宿「つなかん」て若者たちを自分たちの子どものように愛情をもって受け人れる一代さんは、みんなの。”お母さん”のような存在、ここには人と人の絆の温かさが溢れ、血縁をこえた”家族”が生まれます。そんな中、思いもよらない災難が一代さんを襲います。夫の和亨さんの海難事故死です。「自分が息をしているのも嫌。生きているのがつらい」というくらい一代さんは落ち込みます。そんなー代さんを心配し励まそうとして遠くから「ただいま、つなかん」と集まってくる大勢の”子どもたち”。人と人が分断される世の中にあってそれとは真逆の人たちの存在がありました。

           

 やがて、一代さんは絶望の中から希望への一歩を踏み出します。「決して何ごとも無駄ではなかった。すべてに意味があったんだと思っています。・・・すべて受け人れて、自分の中に落とし込んで受け止めて生きていこう」一代さんのこの言葉は、能登半島地震で被災した方々への力強いメッセージにもなり得るのではないでしようか。

             

★『ただいま、つなかん』映画公式サイト 

          

        

「復活」の映画 (授賞理由)

                  


 カトリック映画賞はキリスト教の映画賞であるが、そのキリスト教の根本原理は、特定の宗教を超えた普遍的な真理としての、「復活」にある。人の世のあらゆる試練は「復活」に向かう生みの苦しみなのだから、どんなに重い十字架を背負わされても、その先には必ず真の喜びがあると信じ続ける、ある意味究極の楽観主義だ。イエスの十字架上の死という絶望が、イエスの復活という喜びに変ることを体験した弟子たちは、この宇宙の根源に「復活」が秘められているという真理に目覚めたのである。
 『ただいま、つなかん』は、「復活」の映画だ。一見そこには、この世の絶望が映っているようにも見える。突然襲ってくる津波の悲劇や、愛する人との理不尽な死別。さらには、生活を破壊するウィルスの流行。現実の十字架は、あまりにも過酷だ。
 しかし、よく見るとそこには、絶望を優しく包み込む希望が映っている。復活を夢見て助け合う、笑顔の仲間たちが映っている。およそこの世のあらゆる映像は過去を映しているものだが、この映画には驚くべきことに、未来が映っている。
 対象にカメラを向ければ自動的にドキュメンタリーが撮れるわけではない。対象の奥深くから、人の意志や偶然を超えた聖なる働き、あの名付けようもない慈愛に満ちた何ものかが浮かび上る瞬間を捉えて、初めてドキュメンタリーは成立する。
  『ただいま、つなかん』は第一級のドキュメンタリー映画だ。いまなお試練の内にある人に復活の未来を見せてくれる、ときめく映画だ。日本カトリック映画賞にまことにふさわしいと、最大限の評価を与えたい。

       SIGNIS JAPAN顧問司祭 晴佐久昌英(東京教区司祭)

               

SIGNIS について              

               

 SIGNIS(シグニス)とは、”印(しるし)”を意味するラテン語です。

 SIGNISは、バチカンの教皇庁広報評議会の下に活動する世界的団体で、80年を越える歴史があります。
 本部はベルギーのブリュッセルにあり、ローマに技術サービスセンターを持つほか、全世界140ヶ国に支部があります。教皇ヨハネ・パウロ2世の強い思いで、 2001年に、OCIC(映画・視聴覚)とUNDA(ラジオ・テレビ)の2つの組織が統合され、新しく”SIGNIS”が誕生しました。
 各国・地域により活動形態は様々ですが、映画、TV・ラジオ、インターネットなど様々なメディアを通して福音を宣べ伝えています。

            

⇒ シグニス ジャパン(カトリックメディア協議会)             

              

 日本カトリック映画賞           

 日本カトリック映画賞は、1976年以来、毎年1回、前々年の12月から前年の11月までに公開された日本映画のなかで、カトリックの精神に合致する普遍的なテーマを描いた優秀な映画作品の監督に贈られます。

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