特集:「コロナ禍の中にこそ、すべてのいのちを守る」⑤
9月1日から11月30日まで、福岡教区養成教化委員会の企画で、フランシスコ教皇訪日の際に使われたメッセージ「すべてのいのちを守る」をさらに考え、その理解を深めるために資料が提供されます。毎週火曜日更新。
「コロナ禍の中にこそ、すべてのいのちを守る」⑤ 2020年9月29日
~教皇フランシスコと共に考え、実践するために~
「現代の人々の喜びと希望、苦悩と不安、とくに貧しい人々とすべての苦しんでいる人々のものは、キリストの弟子たちの喜びと希望、苦悩と不安でもある。真に人間的なことがらで、キリストの弟子たちの心に響かないものは何もない。」
(第二バチカン公会議公文書『現代世界憲章』1)
社会問題と向き合うときのキリスト教的基準とは?
キリストが示した神の愛をあかしするためにこの世に遣わされています。したがって、社会問題と取り組むときには、福音に基づく基準が必要です。それらを以下簡単に説明します。
1.人間のいのちの尊厳
すべての人間は神に愛され望まれ、神にかたどられ似せて造られました。そこに人間の尊厳があります。いつどんな場合にもこの尊厳を尊重することが社会問題と向き合う教会の基本姿勢です。
2.共通善
共通善とは人間集団(家庭、地域社会、国など)とその構成員が、よりやさしく、より完全にじぶんたちのことだけではなく、ほかの集団の必要なものや正当な要求、さらには人類家族全体に共通した善を考慮しなければなりません。
3.この世の物は万人のため
神は天地万物と人間を造り、人間に大地を与え、人間がその働きによって天地の実りを得ることができるようになりました。それは、だれ一人として排除されることなく生命を維持するためでした。ここに、この世の物がすべての人のためにあるという原理がります。このように神は地とそこに含まれるあらゆる物をすべての人に与えたのですから、愛と正義をもってすべての人に公平に行き渡るようにしなければならないのです。
4.補完性の原理
人間の尊厳を尊重するということは、家庭やさまざまな人間共同体および経済、社会、政治、文化、スポーツ、娯楽、専門職などにおける活動の全体にも目を向けることでもなければなりません。したがって、個人やより小さな集団の創意、自由、責任が尊重され、より強い大きな集団はより小さな集団を助け、支え、発展を促すようにしなければなりません。そこに補完性の原理があります。
5.参加
参加は、補完性を特徴づけるもので、個人的であれ、共同であれ、直接間接市民社会の文化、経済、政治、社会にかかわる人々の生活に貢献する活動のことです。それは共通善の視点からいえば、すべての人が責任をもって意識的に果たすべき義務です。
6.連帯
連帯は、人間の尊厳と平等、人間そのものがほかの人とともに生きるように造られているという事実に基づいている原理です。それは法制度や市場に関する規定を定めるための社会原理となるべきものです。それはまた倫理徳として、単なる同情ではなく、すべての人に対する責任を自覚して一人ひとりの善と同時に社会の共通善のために働くという確固たる決断のことです。
出典 「なぜ教会は社会問題にかかわるのかQ&A」日本カトリック司教協議会・社会司教委員会編。
本文は在庫切れのため、下記より無料ダウンロードできる。
https://www.cbcj.catholic.jp/wp-content/uploads/2018/05/shakai_qa.pdf
問答式でわかりやすく貴重な資料です。
ふりかえりましょう
①この文章を読んで、あなたの心に留まったところ、響いたところはどこの部分ですか。それはなぜでしょう。
②この課題について、あなたの生活の中でどのように実践することができるでしょうか。
9月1日から11月30日まで、福岡教区養成教化委員会の企画で、フランシスコ教皇訪日の際に使われたメッセージ「すべてのいのちを守る」をさらに考え、その理解を深めるために資料が提供されます。毎週火曜日更新。